厳しい眼差し、揺るがぬ信念、そして誰よりも熱い心を持った男——それが「鬼の部賀」です。
『ダンダダン』の中でも異色の存在感を放つこの警察官は、ただの脇役にとどまりません。
彼の行動、言葉、そして背負った過去は、物語のもう一つの「人間ドラマ」を紡いでいます。
今回はダンダダンに登場する警官の部賀正道(べがまさみち)について解説していきます。
- 部賀は神越交番勤務の警官で、通称「鬼の部賀(ベガ)」
- ズマ(頭間雲児)の育ての親である
- 妻子を通り魔に殺された過去を持ち、その復讐心とどう向き合うか葛藤している
- 生身で怪異と戦える作中屈指のフィジカルと精神力を持つ
Contents
【ダンダダン】部賀正道=(通称ベガ)とは?

圧倒的な存在感
初登場時のインパクトは凄まじいものでした。
オカルンたちが「金の玉」を返してもらうために交番を訪れた際、ベガは彼らを厳しい視線で見つめ、警官らしい疑念のまなざしを向けます。
その態度は冷静ながらも威圧的で、「ただ者じゃない」と思わせる雰囲気を放っていました。
モモが「超怖ぇ!」と震えるほどの存在感。
それもそのはず、ベガの通称は「鬼の部賀」。
それは見た目の怖さだけでなく、徹底した職務遂行能力と規律の厳しさから来ているのです。
しかし、その鬼の仮面の裏には、もっと深い理由と情熱が隠されていました。
【ダンダダン】ベガの来歴
過去の悲劇
ベガは過去に、最愛の家族を失うという壮絶な悲劇を経験しています。
妻と娘のみーちゃんが、通り魔によって命を奪われたのです。
その日は、妻が保育園へ娘を送る途中。突然の事件により、ベガの心にぽっかりと空いた穴は、容易に埋まるものではありませんでした。
あまりにも理不尽で、あまりにも突然の喪失。
ベガは一時、復讐心に取り憑かれ、犯人を自らの手で殺し、自分も死ぬ覚悟までしていました。
しかし、そんな彼を止めたのは、亡き娘・みーちゃんの笑顔でした。ふとした瞬間に脳裏をよぎったその姿は、ベガに「生きる意味」を再び問いかけたのです。
「投げやりになるな」「丁寧に生きろ」——この言葉は、みーちゃんの言葉であり、ベガ自身がその後の人生で貫く信念となります。
ズマとの出会い
そんなベガが出会ったのが、暴動を起こして補導された少年・頭間雲児、通称ズマです。
彼もまた、幼くして家族を失い、心に深い闇を抱えた存在でした。
当初は不良仲間とつるみ、暴力的な行動に走るズマ。
しかし、ベガは彼を「更生させる価値がある」と信じ、自らの里子として引き取ります。
ここで注目すべきは、ベガが単に「更生施設に送る」のではなく、自ら責任を持って面倒を見るという選択をしたことです。
ズマに自分の過去を重ねたベガ。だからこそ、他人事では済まされなかったのです。
「この世界に負けてほしくない」「あの時、自分が壊れていたように、彼も壊れてしまう前に救いたい」——そんな想いが、ベガを突き動かしていました。
この決断が、ズマの人生を大きく変えるきっかけになります。やがてズマはベガを「親父」と呼び、その背中に憧れを抱くようになります。

【ダンダダン】ベガの戦闘能力
並外れた戦闘力
ベガの特徴はその人格だけではありません。
驚異的な身体能力と精神力もまた、彼を“ただ者ではない警官”たらしめています。
彼は、生身の人間でありながら、変装した宇宙人・セルポ6郎や、超常的な力を持つ妖怪たちと正面からやりあいます。
常識で考えれば勝ち目のない戦いでも、一歩も引かず立ち向かうその姿は、強烈な印象を与えました。
超人的な精神力
特に印象的なのは、セルポ6郎に「また署の道場で手合わせを」と告げる場面。
これは、単なる強さアピールではなく、敵でさえ対等に扱おうとするベガの“武士道”的な精神を象徴しています。
また、191話でメルヘンかるたの精神操作攻撃すら効かないという点も、彼の異質さを際立たせています。
霊能力の獲得
闇バイトの襲撃事件でキョンシーが襲来し騒然となった肉汁餃子。
野次馬やパトカーが多く集結しており、その場には鬼の部賀の姿がありました。
事情聴取にやってきた部賀は店で大乱闘が起きたが残ったのはオジサン一人というあまりにも不可解な出来事に遭遇。
さらに調査を進めると美人なお姉さんと若い男二人組の目撃情報をもとに周囲を見渡し、部賀は目撃情報と一致した星子たちを発見します。
この際部賀は三人が発するオーラのようなものを注視しており、同様に部賀の周りにもオーラが描写されていました。
これは部賀が呪行李編で多くの妖怪と戦った結果、霊能力に目覚めた描写と予想されています。
実際に女王せんせいがそのように力に目覚めたことから、同じ事例で霊能力を獲得した可能性は非常に高いと思われます。
【ダンダダン】ベガという存在が伝えるメッセージ
失っても、優しさを捨てない
ベガというキャラクターが私たちに伝えてくるもの、それは“喪失を乗り越えた先にも人は優しくなれる”という事実です。
復讐に囚われることなく、誰かを救うことで自分を救う。その道は決して簡単なものではありません。
日々の中で揺らぎ、怒りに飲まれそうになる瞬間もあったことでしょう。
それでも彼は「警官であり続ける」ことを選びました。
それは、亡き娘の記憶に恥じないように生きることであり、そしてズマという“新たな命”に希望を繋ぐ道でもありました。
ズマが「親父」と呼ぶその背中は、確かに“血のつながり”よりも強い信頼と愛情で結ばれています。
【ダンダダン】ベガについてまとめ
- ベガは、鬼のように職務に厳格でありながら、娘を亡くした悲しみと向き合い続ける一人の父親でもある
- 血縁を超えてズマに家族の温かさを与え、その人生を変えた
- 妖怪すら寄せ付けぬ強靭な精神と肉体の持ち主
- 「この世界に負けたくない」という信念を胸に、今も誰かを守るため立ち続けている
彼の背中には、喪失と希望、そして再生の物語が詰まっています。『ダンダダン』という作品が描く“人間の強さ”の一端を、ベガという人物が見事に体現しているのです。
【ダンダダン】過去の記事はこちら
過去の話のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
180話 | 181話 | 182話 | 184話 | 185話 |
186話 | 187話 | 188話 | 189話 | 190話 |
191話 | 192話 |
【ダンダダン】登場キャラクター
綾瀬桃/モモ | 高倉健/オカルン |
円城寺仁/ジジ | 白鳥愛羅/アイラ |
坂田金太/キンタ | 頭間雲児/ズマ |
佐脇凛 | バモラ |