「葬送のフリーレン」は、魔王討伐後のエルフの魔法使いフリーレンが、仲間たちとの旅を振り返りながら、新たな冒険を通じて自身の人生の意味を見つけ出すファンタジー漫画です。
この記事では「葬送のフリーレン」の143話のネタバレ、考察、レビューを行います。
Contents
【葬送のフリーレン】142話までのあらすじ
魔導特務隊隊長フラーゼは皇帝に謁見し、舞踏会の準備が順調であると報告します。
皇帝は国賓ゼーリエの動向を尋ね、彼女が多くの従者を連れていると聞いて、自らも同様の備えをすべきかと意見を求めました。
フラーゼは、皇帝の威厳を示すため魔導特務隊を護衛につけることを提案しますが、その裏には隊員を増やしたいという意図も見え隠れします。
皇帝はデンケンの排除を確認し、ゼーリエと条約を結ぶ予定だったことを明かします。フラーゼは多くを語らず、命を懸けて事にあたる覚悟を示し、謁見の場を後にしました。
皇帝は一人になり、帝国の未来に衰退の影を感じ取っている様子です。
一方、ユーベルとラントは「影なる戦士」と遭遇し、激しい戦闘に巻き込まれます。
ユーベルが窮地に陥る中、カノーネはフラーゼに指示を仰ごうと動き出します。

【葬送のフリーレン】143話のあらすじ最新話
舞踏会での動きと情報収集
舞踏会場の中央でフェルンとシュタルクは華やかに踊っていました。
しかしその表情は、決して楽しげなものではありません。
視線の端で常に敵を警戒し、事前に入手した人相書きと照らし合わせながら、影なる戦士たちの動きを確認していました。
「会場にはクレマティスが残っている……けれど、イーリスとルティーネは外に出ていったわ」
「クライス、ヴァルロス、ロレも見当たらないな」
二人は舞踏の流れを崩さぬよう、巧みに身を寄せ合いながら情報を交換し、即座にフリーレンへ報告します。
その冷静な動きは、長い旅で培った経験の積み重ねでした。
報告を受けたフリーレンは、静かな声で「私たちもそろそろ行くよ」と告げます。
その声音には、これから訪れる激戦を悟りながらも揺るぎない覚悟が感じられました。
傍らでゼンゼは冷静に状況を整理し、「ファルシュと合流したら、あとは彼の指示に従ってくれ」とフリーレンに命じます。
そしてゼーリエに「水面下での戦いが始まります」と告げると、ゼーリエは遊撃を許可したユーベルとラントのことを問いました。
ゼンゼは淡々と答えます。「ユーベルには自覚がないでしょうが、彼女とラントは戦士との戦闘において高い優位性を持っています。恐らく、私と同じように。」
その答えにゼーリエは満足げに「上出来だ」と返し、わずかに笑みを浮かべます。しかしすぐに表情を曇らせ、「あとは敵が想定を上回らぬことを祈るばかりだな」と呟きました。
この一言が、これからの戦闘の苛烈さを暗示していました。
影なる戦士との戦い
舞踏会場から離れた通路では、ユーベルとラントがそれぞれ影なる戦士と相対していました。ユーベルはイーリスに、ラントはルティーネに不意を突かれ、背後を取られかけます。
しかし互いに即座に反撃を繰り出し、ユーベルがルティーネを、ラントがイーリスを攻撃することで、二人は寸前で窮地を脱しました。
「やれやれ……あんたがいたから助かったわ」
「お互い様だな」
この一瞬の連携は、普段は反発し合う二人の奇妙な相性の良さを物語っていました。
ルティーネは石像から剣と盾を奪い、戦士らしい冷静な分析眼でユーベルの魔法を観察します。「壁や天井は斬れるが、この盾は斬れない……魔法の性質を探る必要があるな」と、声に出すように思考を整理していました。
一方、ユーベルはむしろその分析を楽しむかのように笑みを浮かべます。「これは相性が悪そうだ……楽しくなってきた」――狂気じみた感覚型の魔法使いらしい言葉でした。
ラントは冷静に毒針を操り、影なる戦士の装備に隠された弱点を突いていきます。イーリスは戸惑いながらも、その反応速度の異常さに気付きます。
「ユーベルは感覚型だからわかるけど……ラントはなぜ思考する前に動けるの?」と考え込みます。
やがてイーリスはラントの実体が“分身”であると見抜きますが、その直後に首を掴まれ、魔法を叩き込まれます。死を覚悟する瞬間、彼女は「実体じゃないのに、なぜ急所を守ったの?」と問いかけます。
この問いは、ラントの人間らしさと戦術的矛盾を同時に突くものでした。ラントはその鋭さに内心で警戒を強めます。

魔導特務隊の静観とフラーゼの真意
戦闘の余波を探知した魔導特務隊のカノーネは即座にフラーゼに報告しました。通常であれば即応部隊が派遣されてもおかしくない状況です。
しかしフラーゼは冷静に首を横に振り、「戦況を監視し、探知を継続せよ」と命じます。
「我らが動く時ではない。今はただ、敵の力量を測る時だ」
一方で、影なる戦士側の指揮系統も乱れはありませんでした。ルティーネがクレマティスへ報告すると、クレマティスはすでに全てを把握しており、即座に「やむを得ない、交戦を許可する」と判断しました。
フラーゼはその一連の流れを察知し、「敵はなかなか優秀なようですね」と呟きます。
ここには、大陸魔法協会と影なる戦士、二つの組織が互いに高度な統率力を保ち、静かに睨み合う構図が浮かび上がっていました。

影なる戦士の弱点
戦闘が膠着する中、ユーベルはふと違和感を抱きます。「ラントの動きはあまりに分かりやすいのに、なぜイーリスは先読みしないのか?」
そして、ひらめきます。「……そうか。影なる戦士は魔力探知を使えない。だから五感、特に“目”に頼っているんだ」
この気付きは大きな意味を持ちます。魔力探知が使えないということは、奇襲や幻惑に弱いという致命的な欠点を抱えていることを意味していました。ユーベルは視線を操作するように動かしながら、次の一手を考えます。
「私の視線は自由。あとはタイミングを見極めるだけね」
その不敵な笑みは、戦況を大きく変える突破口を見つけた者のそれでした。
戦場へ変わる舞踏会
舞踏会の華やかさは徐々に薄れ、場は確実に戦場へと姿を変えつつあります。影なる戦士の冷静さと統率力、魔導特務隊の静観、そしてフリーレン一行の覚悟。
それぞれの思惑が絡み合い、戦況は一層複雑さを増していきます。
次回、ユーベルが掴んだ“影なる戦士の弱点”をどう突き、ラントが消耗戦を打破する一手を見せるのか。舞踏会の闇はさらに深まり、物語は加速していきます。
【葬送のフリーレン】考察記事はこちら
考察記事のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
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