本記事では、大人気漫画『葬送のフリーレン』の140話について感想やレビュー、考察を行っていきます。
前回の139話では、大陸魔法協会、影なる戦士、魔導特務隊それぞれが対立関係にあることが判明しました。また、ゼーリエを暗殺する理由についても明らかになり、今まで謎めいていたフラーゼの思惑も徐々に明らかになりつつあります。
レーヴェの目的が魔法をなくすことであり、ゼーリエも戦闘態勢をとる気でいることが描かれていました。
今回の記事では乱戦必至の葬送のフリーレン140話の考察を行っていきたいと思います。
任務の選定基準
ゼーリエの思いと期待

Contents
現状のおさらい
三者三様の対立構造
帝国と大陸魔法協会は長年にわたり不仲な関係にあります。
帝国領の帝都アイスベルクで帝国が「ゼーリエ暗殺計画」を企てていることが明らかになりました。
ゼーリエ暗殺計画の暗殺役は「影なる戦士」が実行することが判明しており、帝国側の治安維持として、魔導特務隊が配置されています。
一方、ゼーリエ擁する「大陸魔法協会」はリネアールから入手した人相書きで「影なる戦士」のリストは把握しているが、唯一指揮官の正体がつかめていません。
魔導特務隊は魔法使いを狩ることに特化した部隊で、普段は帝国の内乱の鎮圧に駆り出されているような部隊です。
舞踏会でゼーリエ暗殺計画が行われようとしている最中、影なる戦士と大陸魔法協会が戦闘した場合には、帝国の武力行使でなら殺し合いを許可するとフラーゼは言っています。

大陸で活動する魔法使いの認可と管理を担う魔法管理団体です。
『生きた魔導書』と称される神話の時代の大魔法使い・ゼーリエが弟子達と共に設立しました。
本部は、聖都シュトラールにありますが、大陸各地に支部が設置されており、フリーレン一行が訪れた北側諸国最大の魔法都市オイサーストには北部支部がありました。
影なる戦士は、帝国に忠誠を誓った謎の戦士たちで、対魔法使い専門の特務機関の一つです。
上層部の命令なしにリアルタイムで動くことができる影なる戦士は、一つの生き物のような戦いをすると記述があるほど強かったが、次第に帝国の思い通りに動かなくなってしまったため解体されました。
帝都アイスベルグで行われる舞踏会でゼーリエの暗殺をもくろんでおり、同じ帝国側の魔導特務隊とは敵対関係にあります。

影なる戦士レーヴェの目的
葬送のフリーレン139話にて、影なる戦士レーヴェが自身の目的について、世界から魔法がなくなることであることが判明しました。
魔法の伝承の根絶
魔法や技術は時代とともに進化していきます。
そして、ゼーリエがフランメという弟子をとり、フランメがフリーレンという弟子をとったように、その魔法は引き継がれていくものです。
ゼーリエがフランメに魔法を教えていなければ、人類の魔法の繁栄はありませんでした。
ゼーリエが大陸魔法協会を設立し、「魔法を譲渡する魔法(フィーアヴェリア)」によって特権をあたえ、魔法の知識や技術を後世に伝える重要な役割を担っています。
仮にゼーリエが殺されることがあればその伝承が途絶えることで魔法が失われてしまう可能性があります。
魔法の均衡の破壊
帝国と大陸魔法協会は不仲な関係ではありますが、大陸魔法協会が魔法の均衡を保つための重要な役割を担っている可能性があります。
帝国は優秀な魔法使いでも軍事に特化した使い方をされます。
上層部の命令には逆らうことができず、自由に魔法が使えるということができなくなってしまいます。
大陸魔法協会はその真逆の立ち位置にいるため、ゼーリエがいなくなることで魔法の均衡が崩れ、今後魔法をなくそうという動きが働き、世界から魔法が消えてしまう可能性があります。

魔導特務隊フラーゼの思惑
魔導特務隊のフラーゼはこの作品の中でもトップクラスに謎めいた存在で、このゼーリエ暗殺計画編ではキーマン的存在になると予想しています。
フリーレンすらも気がつかないほどの薄く精密な魔力探知は帝都全体を監視しており、フリーレン一行が帝都に入った時から監視を続けていました。
ゼーリエの戦線布告の意味もこめた魔力探知で、魔力探知が相互に干渉しいつ戦闘が発生してもおかしくない状態になっていました。
カノーネは大陸魔法協会のリネアールとして潜伏している可能性高いことから、139話のフラーゼとの会話では自分自身の立ち位置を確認するような質問を投げかけていました。
カノーネはフラーゼに対し、「大陸魔法協会と影なる戦士が戦闘を開始した場合如何なさいか」と問いかけています。
「私達国家権力による武力行使を除いて、この国に殺し合いを許す法はありません」とフラーゼは答えていることから、魔導特務隊の後ろ盾に国家権力がいることは間違いないでしょう。
そして、大陸魔法協会と影なる戦士が戦闘を開始した場合の武力行使を許可したことを意味します。
フラーゼはすべては「帝国の永遠なる魔法の繁栄のため」と言っていますがまだ謎が多いです。

デンケンの立ち位置
デンケンは国の宮廷魔法使いでありながら、一級魔法使いです。
帝国の魔法使いとしての彼の立場と、大陸魔法協会の一員としての立場があり、今回のゼーリエ暗殺計画では非常に複雑な役回りになってしまっています。
大陸魔法協会側の立場にしてみれば、ゼーリエが襲われるようなことがあれば、デンケンはゼーリエを守る動きを見せるでしょう。
しかし、帝国の魔法使いであるデンケンがそのようなことをしてしまったら、帝国側としたら処分の対象にしかなりません。帝国の重鎮なのに一級魔法使いになったデンケンは影の戦士の標的になってもおかしくないです。
今回デンケンはゼーリエ暗殺計画に関しては何も知らされていないようで、ヴァイゼへ移送されることになります。
帝国側にとってみればデンケンはゼーリエ暗殺計画の邪魔にしかならない存在です。そのため、デンケンは今回のゼーリエ暗殺計画のために一時的に逃がされた可能性があります。


葬送のフリーレン140話のあらすじ
舞踏会での護衛任務
ゼンゼやフリーレンたちは、国賓として舞踏会に招待されたゼーリエの護衛を任務として与えられました。
この任務の目標は、影なる戦士によるゼーリエ暗殺計画の阻止です。ゼーリエには正式な招待状があるため、正面から堂々と舞踏会に参加でき、従者の人数制限もないため全員で向かう予定です。
ただし、魔導特務隊を脱走しているラントとユーベルは別ルートから入ると宣言しました。
ラントとユーベルの関係
ラントはゼーリエに、なぜユーベルと組ませたのか質問しました。自身がユーベルと相性が悪いと不満を漏らしますが、ユーベルは他の誰が迎えに行ったら任務を受けたのかと問い返し、ラントは答えませんでした。
また、ユーベルが帝都やラントの家族について話し始めると、ラントはその話を遮り、聞きたくないと拒否しました。
このやり取りは、ラントの祖母や魔導特務隊のフラーゼとの因縁を示唆しているようです。
ゼーリエは二人の相性を悪くないと評価し、ラントにユーベルの手綱を握るよう促しました。その言葉に二人は「手綱?」と反応し、ラントが「どこにあるの?」と尋ねると、ユーベルは「捨てちゃったかも」と軽口を叩きました。
正装の準備
舞踏会に向けて全員が正装に着替えました。
シュタルクとザインは正装に身を包みましたが、ザインは慣れない様子で不満を漏らしていました。一方、シュタルクは動きやすいと気に入っているようです。
ザインは深刻そうに「気になることがある」と切り出しましたが、実際には「舞踏会に綺麗なお姉さんがいるか」という内容で、シュタルクは呆れていました。
女性陣では、フェルンがゼンゼにコルセットを締めてもらい、ぎりぎりまで締めるよう要求していました。
ゼンゼは戦えなくなると止めましたが、フェルンは納得せず必死の様子でした。
フリーレンが髪を結んでもらおうとするも、フェルンに「今それどころじゃない」と断られました。
フリーレンは仕方なく待ち、ゼーリエから「弟子がいなければ髪も結えないのか」と皮肉を言われますが、「ゼーリエも似たようなものだ」と反論しました。
ゼーリエはフリーレンに「私が髪を結んでやってもいい」と提案しましたが、フリーレンは「死ね」と冷たく返答しました。
ゼーリエは任務に巻き込んだのはゼンゼの配慮であり、自分の意思ではないと説明しました。
不満があるなら任務を降りることもでき、フェルンにも無理強いはしないと告げました。
ゼーリエの自信
ゼーリエは「フェルンは一級魔法使いである前にフリーレンの弟子だからな」と述べ、フェルンの立場を強調します。
そして、そもそも暗殺計画自体が茶番であり、「たとえ帝国が全軍事力を集結させたとしても、私が死ぬ未来が見えるか?」と、自身が暗殺されることはあり得ないと自信を見せます。
しかし、フリーレンは「なんで私たちを任務から遠ざけようとするの?」と質問します。
フリーレンの疑問
フリーレンはさらに、「ゼーリエにはどんな未来が見えているの?私の役割は何?」と問いかけます。
しかし、ゼーリエはそれには答えず、「やはり任務を降りても支障はない。フリーレンを巻き込んだのは私の意思ではない」と言います。
それに対し、フリーレンは「お前を敬う大事な弟子が、本当に私を巻き込まないと思っていたの?」と返します。
これを受けて、ゼーリエはフリーレンに「来い」と命じ、髪を結んでやると言います。フリーレンは「フェルンにやってもらうからいい」と断りますが、ゼーリエは「そうじゃない、私はただ…」と言いかけます。
その時、支度を終えたフェルンが戻り、結局フリーレンの髪はフェルンが結うことになります。
フェルンとゼンゼの身支度
ゼーリエはゼンゼに対し、「フェルンを十全に戦えるように調整した」と話し、コルセットは程よく調整されたようです。
その後、ゼーリエはゼンゼにも「座るように」と命じて髪を結んでやろうとします。ゼンゼは「髪くらい自分の魔法でできます」と言いますが、ゼーリエは「いいから、おいで」と促し、ゼンゼを椅子に座らせます。
今回の任務の選定基準
髪を結んでいる間、ゼンゼは「今回の任務の選定基準」について質問します。
「レルネンとか他にもっと適任がいたのではないか」と問いかけますが、ゼーリエは「あいつが舞踏会に来られるわけがない」と答えます。
レルネンは50年以上前に宮殿から出禁を食らっており、ゼンゼは「何をやったんだ、あの人…」とつぶやきます。
ただ、レルネンも全く動いていないわけではなく、ヴァイゼに移送されたグリュックやデンケンを出迎えており、彼らも今後動きがある可能性があるようです。
特権に込められた願い
ゼーリエは選定基準に話を戻し、ゼンゼに「特権に何を願ったか覚えているか」と尋ねます。
ゼンゼは「片時も忘れたことはない」と答えますが、ゼーリエは「あの時失望した。この子には類い稀なる才はあれど、決して強い魔法使いにはなれない」と告げます。
そして、「この任務に参加しているのは、私の望みとは程遠い特権を願った連中だ」と話します。
具体的には、ラントは家族を弔うために「家族の遺体を探す魔法」を、ユーベルは「姉貴が見つかる魔法」を、フェルンは「お洗濯の魔法」を、それぞれ特権に願ったことが明かされます。