マンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の遠藤達哉先生による漫画『SPY×FAMILY』。
スパイの父・ロイド、殺し屋の母・ヨル、人の心が読める娘・アーニャが互いに正体を隠しながら疑似家族として暮らす日常を描いた大人気作品です。
本作は、ドタバタで温かい日常と、各国間の平和を守るために奮闘するシリアスな物語のギャップが読者を惹きつけています。
今回はスパイファミリー番外編16話の内容について解説していきます。
- 妻に正体を隠しながらスパイ活動を続ける男・マシューの複雑な日常
- 優しい夫と冷徹な諜報員、二つの顔を持つ男の人間ドラマ
- 鷹のキッキちゃんとの信頼関係が描くもう一つの絆
- 老夫婦の日常に垣間見える、静かで切ない愛情のかたち
【スパイファミリー】番外編16話のあらすじ最新話
鷹と暮らすスパイ
「おはよう キッキちゃん」
そう優しく声をかける老人マシュー・マクマホン(66歳)は、実は今なお現役のスパイ。
表向きは引退して悠々自適な生活を送る初老の紳士ですが、裏では情報任務をこなす凄腕エージェントです。
妻モーリーンと交わす穏やかな朝の会話や、洗濯物を干す家事の姿は、ごく普通の家庭そのもの。
しかしその手には、かつて何人もの命を葬った影が残っています。キッキちゃんは、そんなマシューの任務を支えるパートナーでもあります。
愛する人に隠し続ける真実
モーリーンとの食卓では、彼女の料理を差し出しながら静かに笑うマシュー。
しかしその心中には、「本当の自分」を隠していることへの葛藤が漂います。
料理を差し出すモーリーンに「ありがとう」と告げるマシューの表情はどこか寂しげ。
マシューの「君の料理が一番おいしい」という言葉には、モーリーンに向けられた絶対的な信頼と愛が込められており、それに応えることができない自身への無念がにじみます。
裏社会での冷徹な顔
作中では、マシューが今も諜報活動に関与している描写が登場します。
パーティ会場では変装を解き、鋭い眼光でターゲットを監視。かつての敏腕ぶりは健在で、今なお危険と隣り合わせの任務に就いていることが分かります。
任務を終え、傷を負った姿で帰宅するマシューに、モーリーンが「そのケガどうしたんだい?」と問いかけるシーンは印象的です。
彼女は本当のことに気づいていないフリをしているのか、それとも全く知らないのか――この微妙な距離感が、物語に深みを与えています。
「ありがとう」に込められた意味
ラストでモーリーンが「夕飯、まだ食べてないでしょう」と声をかけると、マシューは微笑んで「ありがとう」と返します。
この一言には、日々の嘘を積み重ねながらも、共に生きることを選んだマシューの深い愛と思いが込められているように感じられます。
過酷な任務に戻る合間、家庭という一時の安らぎに戻る彼が唯一“素”になれる瞬間なのかもしれません。
キッキちゃんが餌をつつくシーンで幕を閉じるこのエピソードは、華やかなアクションやコメディとは異なる、『SPY×FAMILY』のもう一つの魅力、”静かなる物語”の存在を感じさせます。
【スパイファミリー】過去の記事はこちら
過去の話のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
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