『葬送のフリーレン』に登場するフラーゼは魔導特務隊の隊長であり、物語の根底に影響を与えている重要人物の一人です。
登場回数こそ多くないものの、その登場時の存在感や背景に秘められた役割から、物語全体の構造に深く関与していることがうかがえます。
今回は、帝国軍の魔導特務隊を率いる人物「フラーゼ」に焦点を当てて解説を行っていきます。
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【葬送のフリーレン】「フラーゼ」の正体とは?

帝国という巨大国家の治安・防衛を担う部隊「魔導特務隊」。そのトップに立つのが、隊長フラーゼです。
フラーゼは作中でも非常に寡黙で、隙のない雰囲気を纏っています。
小さめの丸眼鏡をかけた理知的な雰囲気の老婆で、クールで感情を表に出さず、近しい者にも腹の底が見えない策謀家です。
名前の由来はドイツ語で「決まり文句、慣用句」を意味する「Phrase(フラーゼ)」に由来しています。
部下であるカノーネやノイなども、フラーゼの命令に忠実に従っており、組織の頂点に立つ者としてのカリスマ性があることも示唆されています。
かつてはヴァイゼに使者として赴いており、グリュッグと面識があるようです。
半世紀以上前にヴァイゼへ赴いた際には、マハトに
「ヴァイゼを滅ぼせるだけの力を持っている」
「使者として送っていいような戦力ではない」

若かりし頃のフラーゼの時代に七崩賢のマハトが「彼女はここで殺しておくべきかと」と言っており、相当な魔法の腕前を持っていることがうかがえます。
あのマハトがこれだけ言うことから相当な実力者であることが分かります。
142話では、フラーゼが皇帝から宮廷魔法使いのデンケン同様に信頼されていること、またデンケンとは水と油で方針が異なることが語られていました。
ただ、デンケンよりも、実際の政治力ではフラーゼに軍配が上がると言われています。
それと同時に、部下たちからは様々な意味で畏怖されており、副隊長のカノーネも表向きは忠実ですが、不満を滲ませる言動が見られます。
個人としての力はもちろんのこと、指揮官として組織全体を掌握する手腕に長けており、軍事的・政治的にも多方面で影響力を持つ人物です。
【葬送のフリーレン】フラーゼの魔法
フラーゼは具体的な戦闘シーンが描かれていないものの、作中最強クラスの魔法使いであることが示唆されています。
フラーゼの能力の中でも特筆すべきは、帝都全域をカバーできる「広範囲魔力探知」です。
この魔法は、ただ広範囲を探知するだけでなく、細かく精密な魔力の変動を捉えることができるという点で、極めて実用性と戦術性に優れています。
実際、ゼーリエはその探知能力を察知し、彼女自身も対抗するように魔力を展開することで、一触即発の空気が生まれました。
言葉を交わさなくとも互いを牽制しあう、魔法使い同士の「静かな戦い」は、まさに一流同士のぶつかり合いの象徴とも言える場面です。
【葬送のフリーレン】ラントの家族との関係
ラントは幼少期、両親を失い祖母に育てられましたが、その祖母のもとにフラーゼが訪れた過去が明らかになります。
ラントの話では、ラントの祖母は「老衰」のような形でなくなったといっていましたが、もしかしたらラントの祖母を殺した人物かもしれません。
この出来事は回想シーンとして描かれており、フラーゼが何らかの調査あるいは拘束のために訪れた可能性が高いと見られています。
なぜフラーゼはラントの家を訪れたのか?その理由については作中では明確に語られていません。
しかし、ラントが一級魔法使い試験合格時にゼーリエに「家族の遺体を探す魔法」を希望したことから、ラントの家族は魔導特務隊によって追われ、あるいは処分された可能性すら考えられます。
フラーゼの訪問がどのような目的であったのか、彼女は命令通り動いていただけなのか、それとも彼女自身の意志が介在していたのか。ラントの過去に潜む闇の深さを際立たせています。

【葬送のフリーレン】フラーゼは敵か味方か?
フラーゼはゼーリエのような圧倒的魔力の持ち主ではありませんが、「国家規模の戦略」「治安維持」「暗殺阻止」といった、裏方として物語を動かす重要な役割を担っています。
帝国という巨大な組織において、力のバランスを保つためには、フラーゼのようなタイプの人間こそが必要不可欠です。
彼女は感情を交えず、必要と判断すれば容赦のない決断も下します。そのため、表向きは味方であっても、物語の流れ次第ではフリーレンたちと対立する可能性も否定できません。
また、ラントの過去の真相が明らかになる過程で、フラーゼの過去の行動が再評価されることも十分にあり得ます。
冷静沈着で一切の私情を交えないように見える彼女にも、かつて迷いや後悔があったのではないかと考えられます。
【葬送のフリーレン】物語における登場と目的
フラーゼは128話のラントの回想で初登場しました(この時は名前不明)。
名前と魔導特務隊隊長であることが判明したのは130話のグリュックの回想シーンです。
実際にセリフを発して登場したのは139話でした。
謎に包まれた意図
フラーゼたち魔導特務隊は普段、反乱鎮圧や国境警備を担当していますが、建国祭中は影なる戦士の指揮官レーヴェによるゼーリエ暗殺計画が企図される中で、帝都の治安維持や貴族の護衛を担当しています。
この行動の意図は部下たちにも知らされておらず、彼らを困惑させています。
ゼーリエ排除の可能性
フラーゼの行動は、ゼーリエの護衛に動く一級魔法使いに不利な状況を作り出しているように見えるため、彼女もまたゼーリエを邪魔に思い、排除しようと考えている可能性が指摘されています。
「国家権力を除いてこの国に殺し合いを許す法はありません」という発言は、裏を返せば国家権力があれば殺し合いも許されるという思想を示唆しており、魔法の発展を追い求めるゼーリエと似た考えを持っている可能性もあります。
「永遠なる魔法の繁栄」
レーヴェが「この世界から魔法を無くす」ことを目的としているのに対し、フラーゼは「帝国の、永遠なる魔法の繁栄」のために動いているとされています。
この目的は、フランメの「誰もが魔法を使える世界」という願いと似ており、本来であればゼーリエと敵対する理由がないはずですが、この点が彼女の真の目的をさらに謎めかせています。
戦略的な動き
感情を交えずに必要な決断を下す人物であり、表面上は味方であっても、物語の展開次第ではフリーレンたちと対立する可能性も否定できません。
彼女の動きは、レーヴェを炙り出し、影なる戦士の思惑を阻止するためであるという考察もあります。
【葬送のフリーレン】魔導特務隊フラーゼまとめ
フラーゼは帝国軍の魔導特務隊隊長であり、国家の安定を陰で支える戦略家です。
広範囲魔力探知という異常な能力を持ち、帝国の治安維持や重要任務に活用しています。
ラントの家族との因縁を通じて、物語の過去と未来、そして権力構造の闇に迫る重要な存在でもあります。
今後、彼女の行動や決断によって、帝国とフリーレンたちの関係が大きく変化する可能性があります。