『カグラバチ』は週刊少年ジャンプにて連載中の、剣と妖術をテーマにしたダークファンタジー作品です。
復讐に燃える青年・六平チヒロを主人公に、妖術師たちとの壮絶な戦いと人間模様が描かれています。
すでにアニメ化も決まっているカグラバチですが、本記事では『カグラバチ』第82話について感想やレビュー、考察を行っていきます。
→カグラバチのアニメ化についての記事を見る
Contents
【カグラバチ】81話までのあらすじ
神奈備本部では、「松」の妖術によって職員が爆発・暴走する事件が発生します。
上層部の亥猿は、神奈備が死守すべき4つの要素(結界核・真打・剣聖・漣伯理)を明言し、本部が内部から崩壊することを警戒します。
職員の体内にはあらかじめ松の種子が埋め込まれており、死をきっかけに発動する仕組みになっていることが判明します。
内部には、まだ50人近い「爆弾」が残されているようです。
その後、加島が現れて主人公ハクリを真打のもとへ導こうとしますが、区堂に変装した敵の妖術師によって裏切られ、加島はハクリをかばって戦死します。
区堂はすでに殺されており、敵がその姿を借りていたのでした。
神奈備の内部には、2種類の敵が存在すると亥猿は推測します。1つは松の種子を仕込まれて操られている者たちで、もう1つは内部情報を毘灼に流した内通者たちです。
ハクリは誰も信じられない状況の中で、能力の限界や孤独に苦しみながらも戦おうと決意します。
しかし、逃げる途中で死んだはずの漆羽と遭遇します。
漆羽が「ムカデ」という合言葉を発したことで、ハクリは第49話の記憶を思い出し、彼が本物だと確信します。
漆羽は居合技で敵の妖術師たちを迎撃し、ハクリは再び誰かと共に戦えることに涙を流しながら、漆羽とともに進む決意を固めます。
【カグラバチ】82話のあらすじ
- 漆羽が雀の炎で蘇生し、命滅契約の呪縛から解放される過程が明らかに
- 座村の真の目的は契約者を救済することだったと判明
- チヒロが覚悟を決め、座村との再戦に挑む心理描写が濃密に描かれる
- 妖刀“飛宗”と“淵天”が遂に激突、京都殺戮ホテルでの激戦が始まる
漆羽の復活──雀の慈悲の炎がもたらした奇跡とは
物語は神奈備の死体処理部から始まります。第58話で命を落としたはずの漆羽が突如目を覚まします。
彼の身体には雀の妖力の痕跡が残されており、炎のようなものが自身を包んでいたことを回想しながら、「これは雀の“慈悲の炎”だ」と確信します。
この炎は、座村が予め仕込んだ妖術によって発動したもので、死後に自動的に蘇生効果を発揮する極めて特殊なものです。通常、このような仕込みの妖術は術者が死んだ時点で効果を失います。しかし、座村は18年間の修行で雀に新たな能力を与え、この蘇生術を完成させたのです。
漆羽は命滅契約が断たれたことをすぐに察知し、「自分はもう呪われていない」と確信します。これにより、漆羽は完全に自由の身となり、座村の真意と覚悟を理解し始めます。
座村の目的──蠱と命滅契約、その断絶にかけた命
座村は契約者を単に道具として扱っていたのではなく、彼らを呪縛から解放するという使命を持って行動していました。その中心にあるのが、“蠱”と呼ばれる命を蝕む真打の本質です。座村は“蠱”の影響が今後も契約者やその子孫に及ぶことを恐れ、その根を断つために剣聖を処刑しようとしていたのです。
しかし命滅契約の仕組み上、剣聖を殺すことで他の契約者たちも命を落としてしまう。そのため、座村は契約者たちを守るために雀の力を用いて“命滅契約だけを断ち切る術”を開発しました。
漆羽との回想の中で語られる「今死ぬのは英雄としてのお前だけだ」という座村の言葉は、漆羽を犠牲にするためではなく、彼を契約から解放し、再び立ち上がらせるための伏線だったのです。
隠された切り札──伏せ札としての漆羽の復活
蘇生後の漆羽は、神奈備の職員に対して「俺が生きていることを上に報告するな」と命じ、自身の存在を隠します。これは、彼が“伏せ札”として、最も効果的なタイミングで戦局を変えるために動く覚悟を持っていたからです。
神奈備職員もその意図を理解し、18年間変形した神経が再構築されるまで静養するよう助言します。
漆羽の身体は動かせない状態ですが、彼の心は既に戦場を見据えています。
また、漆羽が生きていることに気づいた裏切り者の妖術師たちは動揺し、その存在が今後の戦況に大きな影響を与えることは明白です。
漆羽は「敗けたからこそ、せめて彼らの留守は守る」と語り、自身の新たな役割を受け入れます。
京都殺戮ホテル──チヒロと座村、命を賭けた対峙
舞台は再び京都殺戮ホテルへと戻り、チヒロと座村の緊張感あふれる対話が展開されます。チヒロは座村に対し、「漆羽さんは生きていますよね?」と問いかけます。
座村は「生きてたら……なんだ」と突き放します。
座村は娘・イヲリが蠱の犠牲になる未来を恐れており、そのために剣聖を殺すという選択を選んだことを打ち明けます。
それを聞いたチヒロは、自分もまた“他人に生きてほしいと願う者”であると認め、「あなたに生きてもらうために俺ももがく」と叫びます。
飛宗vs淵天──神速の居合が繰り出す死の一閃
座村は“雀”の火力を乗せた居合白禊流の構えをとり、ドア越しにチヒロを一閃で沈めようとします。
チヒロは動けば音で位置を特定されると判断し、あえてその場で受け止めることを選択します。
扉越しの攻撃は想像を超える威力で、チヒロは京都の空中へ吹き飛ばされます。それでも彼は心を折ることなく、淵天に全てを託し、立ち上がる覚悟を示します。
この戦いは単なる剣戟ではなく、座村とチヒロ、両者の信念と覚悟が真っ向から衝突する“意志の戦争”でもあります。
考察:座村の“慈悲”と“孤独”が意味するもの
座村の行動には矛盾が見えますが、それは彼が全てを一人で背負おうとする“孤独な慈悲”の表れです。
彼は誰よりも他人の命に責任を感じ、だからこそ自分が犠牲になることで全てを終わらせようとしているのです。
一方で、漆羽やチヒロのように彼を信じて追いかける者たちが現れたことにより、座村の道が変わる可能性も出てきました。この構図は、少年漫画的な“孤高の英雄”から“絆によって動かされる男”へと座村が変化していく前兆なのかもしれません。
今後の展開予想──真打の封印と神奈備の動き
東京の神奈備本部地下に封じられた真打を、ハクリがどのように処理するのかも今後の注目ポイントです。ハクリの能力と意志次第では、封印の強度が左右され、再び“蠱”の脅威が表面化する可能性もあります。
また、漆羽の復活を知らない柴登吾や巻墨の動向も不確定要素です。彼らが漆羽の存在に気づいた時、戦略や方針が大きく変わる可能性があります。
【カグラバチ】82話の感想
- 漆羽は雀の慈悲の炎によって蘇生し、命滅契約を断たれたことが確定
- 座村の真の目的は契約者の救済であり、己の命を賭ける覚悟があった
- チヒロは説得ではなく力で座村を止める決意を固める
- 飛宗と淵天、妖刀同士の衝突が京都殺戮ホテルで始まる
- 真打の封印、神奈備本部の動きも今後のカギに
次回、カグラバチ第83話では飛宗と淵天の衝突の決着、そして座村とチヒロの関係性に変化が訪れる可能性があります。
【カグラバチ】過去の記事はこちら
過去の話のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
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