『カグラバチ』は週刊少年ジャンプにて連載中の、剣と妖術をテーマにしたダークファンタジー作品です。
復讐に燃える青年・六平チヒロを主人公に、妖術師たちとの壮絶な戦いと人間模様が描かれています。
すでにアニメ化も決まっているカグラバチですが、本記事では『カグラバチ』第84話について感想やレビュー、考察を行っていきます。
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Contents
【カグラバチ】83話までのあらすじ
第83話では、チヒロの精神的な成長と「淵天」に込められた真意が明らかになります。
物語は病室のチヒロと柴の会話から始まり、蠱によって約二十万の命が失われたという衝撃の事実が語られます。
それは、妖刀が国家存続のために必要だった過去と、六平国重の深い後悔を浮き彫りにしました。
チヒロはなぜ父が七本目の淵天を作ったのかという問いを抱えながら、再び座村との激戦に身を投じます。
京都殺戮ホテルでは、座村の飛宗と“鴉”の能力による変則的な攻撃に対し、チヒロは“錦”で応戦。
激しい攻防の中、チヒロは黒羽が入れ替わる直前の玄力の動きを感じ取れるようになり、戦いの質が一変します。
父の後悔と希望を受け継いだチヒロは、再び立ち上がり、ついに座村に「俺が真打を折る」と宣言。
過去と向き合い、未来を切り拓く覚悟を胸に、物語は次なる展開へと進みます。
【カグラバチ】84話のあらすじ最新話
チヒロと座村の「信念」の衝突

場面はチヒロと座村の対峙するシーンから始まります。
二人の間には根本的な思想の対立があり、座村は、チヒロが妖刀「淵天」で「真打を折る」という目的を「夢物語だ」と一蹴します。
座村は『戦後打った妖刀は1本のみであること』『淵天が妖刀を折るための刀』であることは六平の考えそうなことだと推察しますが、それと同時に妖刀破壊という「過去の荷」をチヒロが背負う必要はないと主張します。
これに対し、チヒロは「俺は六平国重の息子だ」と堂々と反論し、戦う理由が自身の誇りであることを明確にします。
この「六平国重の息子」という言葉は、チヒロにとっては戦う誇りである一方、座村にとっては娘イヲリが「人殺しの息子だから」という理由で被害に遭った過去を想起させ、彼の地雷を踏み抜くことになります。
淵天「猩」の活躍とチヒロの負傷

激化した戦闘の中で、チヒロは淵天の「猩(あか)」の力で座村の妖術「鴉(からす)」の能力を吸収し、その自身の位置を入れ替えながら斬撃を放ち、座村を怯ませる一撃を見せます。
ここにきて淵天「猩」の能力の汎用性と応用力の高さが「チート性能」だと思います。
チヒロが短期間でこれほどの戦闘センスと応用力を見せるのはどんな特訓をしたのでしょうか?
座村はチヒロの猛攻にいったん距離をとり、反撃体制を整えます。
真っ向から突っ込んでくるチヒロに対し、「しゃらくせえ」と言い座村も真っ向勝負の居合白禊流で応じます。
座村の攻撃も凄まじく、居合白禊流での真っ向からの斬撃はチヒロ淵天もろとも弾き飛ばします。
その時にチヒロは手が血まみれになるほどのダメージを負い、左手は深刻なダメージを負っており、骨に異常があるほどの激痛が走ります。
座村はこれを好機と見て「終わりだ!!」と追撃を仕掛け、チヒロは絶体絶命のピンチに陥ります。
巻墨の加勢と郎による座村への「痛烈な指摘」

その刹那、巻墨の面々が戦場に駆けつけます。彼らは座村の天敵であり、「隠密」精神的な揺さぶりをかけます。
巻墨の「隠密」能力は、熱、音、匂い、殺気といった気配の由来を極限まで削ぎ落とし、視認できない座村にとって「朧げ」な存在となります。
この一瞬の隙はわずか3秒にも満たないものでしたが、チヒロにとって刀を構え直すには十分な時間でした
郎は座村に対し「何焦ってる」「雀で眼を治せば、巻墨なんて敵じゃねえだろ」「生きる未来を直視するのが怖いか」と問い詰めます。
これは、座村がイヲリと過ごしたつらい過去に囚われ、自らの目を治さない選択をしていることへの、痛烈な指摘でした。
座村は過去の辛い記憶がよぎり「俺が生きる未来は――もう…視えてる…!!」と叫び、雀の炎で巻墨を撃退し、「隠密」の隙はすぐに消え去ります。
「雀」の真意:回復か、火力か?覚悟が導く一撃

この絶体絶命の状況で、チヒロは飛宗のもう一つの能力である「雀(すざく)」を猩で吸収します。
座村はチヒロが雀の回復能力を使って左手を治すつもりだと予測しますが、ここで物語は最大の転換点を迎えます。
巻墨の郎(ろう)は、目を治さずに戦う座村に対して「雀で眼を治せば、巻墨なんて敵じゃねぇだろ」「生きる未来を直視するのが怖いか」と痛烈な正論を突きつけます。
これは、イヲリとの辛い過去から目を背け、傷つく未来を恐れる座村の「弱さ」を浮き彫りにします。
そしてチヒロは、そのボロボロになった左手を治すことなく、吸収した雀の力を回復ではなく「火力」として淵天に乗せることを選択します。
血だらけの手で刀を握り締め、イヲリの姿を重ねながら放たれた渾身の一撃。
その際、チヒロは「”俺たち”は傷だらけになったって構わないんだ!!」と叫びます。
この「俺たち」という言葉には、傷だらけになっても前に進むことを選んだイヲリや巻墨、そしてチヒロ自身の覚悟が込められていると推察します。
この覚悟の一撃は、ついに座村の飛宗に「ヒビ」を入れることに成功します。
【カグラバチ】過去の記事はこちら
過去の話のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
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