『カグラバチ』は週刊少年ジャンプにて連載中の、剣と妖術をテーマにしたダークファンタジー作品です。
復讐に燃える青年・六平チヒロを主人公に、妖術師たちとの壮絶な戦いと人間模様が描かれています。
すでにアニメ化も決まっているカグラバチですが、本記事では『カグラバチ』第83話について感想やレビュー、考察を行っていきます。
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Contents
【カグラバチ】82話までのあらすじ
第82話では、死んだと思われていた漆羽が実は“雀”の妖術によって生き返っていたことが明かされました。
座村の仕込みによる“慈悲の炎”が彼を命滅契約から解放し、漆羽は自由の身となります。
しかし、座村自身にはその術は適用できず、契約者たちを救うために自らが犠牲となる覚悟を固めていたのです。
これを知ったチヒロは、もはや説得の言葉では届かないと判断し、全てを“淵天”に託して座村との死闘に挑みます。
扉越しに放たれた座村の居合白禊流──“雀”の火力を乗せた一閃を、チヒロは真正面から受け止め、京都の空中へと吹き飛ばされながらもなお立ち上がる意志を見せました。
漆羽の復活、座村の覚悟、そしてチヒロの進化と決意。
すべてが交錯する中、物語はさらに深みへと突入していきます。
【カグラバチ】83話のあらすじ最新話
柴から明かされる「蠱」の真実──二十万の命を奪った力

物語は病室でのチヒロと柴の会話から始まります。チヒロが“死”の淵から戻ったこの部屋で、柴はある衝撃的な事実を告げます。
それは、真打に宿る力“蠱”によって、過去に約二十万もの命が失われたという事実でした。
チヒロはこの数字に目を見開きます。自分が扱っている“妖刀”が、そんな大罪の中心にある存在だったのか──その現実は、まだ少年である彼にとってあまりにも重すぎました。
柴は、師・六平国重がチヒロにこの事実を伏せていたのは、単なる秘密ではなく、彼を守るためだったと語ります。
少年に背負わせるにはあまりにも過酷すぎた“罪”──それが蠱の存在だったのです。
封印された妖刀と、国重の後悔──なぜ「淵天」は生まれたのか?
柴は語ります。蠱に関わる“罪”を知っていたからこそ、国重はかつての6本の妖刀を封印したのだと。
しかし同時に、もし妖刀がなければ、今の日本は南東の海域に突如現れた「小国」によって滅亡していた可能性がある──それがこの国の裏の歴史です。
それでも、六平国重は妖刀を作ったことを後悔していた。
だからこそ封印し、破壊しようとまでした。
チヒロはそこに疑問を抱きます。「だったらなぜ、七本目である『淵天』を作ったのか?」
この問いが、今回の物語の核に深く関わっていきます。
京都殺戮ホテルでの激戦再燃──座村の“鴉”の能力と剣戟の応酬

舞台は再び京都殺戮ホテルへ。
座村の神速の斬撃を、チヒロは淵天で受け止めるものの、その威力は想像を超えていました。
「もしあの時、受け流さず真正面から受けていたら…腕ごと持っていかれていた」──それほどの威力が座村の“居合白禊流”には宿っていたのです。
戦いの中、黒い羽根が空間を満たします。
“黒鳥が群れれば死の知らせ”という伝承の通り、座村は飛宗の能力“鴉”を用いて戦場を翻弄します。チヒロはそのたびに対応を迫られ、死力を尽くした攻防が続きます。
しかしチヒロは気づきます。
座村が“入れ替わる直前”、黒羽が爆ぜるような“玄力”の兆しを感じ取れるようになったのです──これは彼の剣術と“錦”の使いこなしによって得た新たな感覚でした。
錦と剣術の融合──チヒロが掴み始めた“淵天”との一体感

再び交錯する斬撃。
座村が黒羽と入れ替わり、チヒロの背後を取るたびに、チヒロは“錦”による身体強化で応戦します。
そして、座村の飛宗を持ち替えた奇襲にも即応し、渾身の淵天で受け止める──まさに一瞬の読み合いと反応の連続。
ただしその代償は大きく、チヒロは座村の斬撃を受け、池に落とされてしまいます。
水中でチヒロは思い出します──病室で柴から聞いた「淵天の正体」について。
“淵天”は希望の刀──六平国重とチヒロの唯一の共同制作
病室に場面が戻り、柴は語ります。「七本目の淵天だけは、他とは違う」と。
六平が戦後すぐに試みた“妖刀破壊”は、雫天石を核に持つそれらが人知を超える存在だったため、不可能だった。
国重は15年間、ただひたすらに蠱と、そして妖刀と向き合い続けた──絶望の中で光を見失いかけながらも。
しかし、その暗闇の中で国重を導いたのがチヒロだったのです。
だからこそ、“淵天”は父子の想いが込められた“共作”であり、破壊のためではなく、「過去と向き合い、未来へ繋ぐ」ための希望の刀だったと柴は語ります。
チヒロの覚悟──「俺が真打を折る」宣言の意味

場面は現在へと戻ります。
チヒロの手元には、再び出現した金魚が舞い、淵天がその瞬間に彼の手に戻ってきます。
それはまるで、刀が主を選び応えるかのような描写でした。
その瞬間、チヒロは確信します。「この淵天を以って──俺が真打を折る」と。
この言葉は、少年だったチヒロが“剣士”へと覚醒し、“背負う者”となる決意の表れです。
自らの信念と責任を胸に、彼はもう逃げない。
剣聖・座村との死闘、そして破壊不可能とされた“真打”への挑戦が、いよいよ本格化していきます。
考察
83話は、チヒロの内面的成長が描かれる転換点となりました。
これまで“戦う理由”を探していた少年が、自分の過去と、父・六平の想いを理解し、未来を切り拓く存在へと変わりつつあります。
「過去と向き合い未来に繋げる」──それは淵天に込められた本質であり、チヒロ自身の物語でもあります。
彼が再び立ち上がった今、破壊できないはずの“真打”が、彼の手によって折られる可能性が見えてきました。
次なる戦いは、単なるバトルではなく、意志と覚悟が激突する“意志の戦争”の真骨頂と言えるでしょう。
【カグラバチ】過去の記事はこちら
過去の話のリンクを張っておきます。過去の考察記事を見たい方はこちらからどうぞ。
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